アルコール消毒が効くウイルスと、効かないウイルス

 厚生労働省は12月17日、2021年第49週(12月6日~12月12日)のインフルエンザの発生状況を発表しました。

 この1週間で報告された患者数は、三重県の11人、大阪府の4人、京都府の3人など、全国で合計35人でした。昨年の同時期(63人)よりも少なく、非常に低い水準が続いていますが、米国ではインフルエンザの患者数が拡大しているとの報道もあります。油断することなく、感染の予防に引き続き努めることが大切です。

 新型コロナウイルス感染症対策の一環として、アルコール(エタノール)で手指を消毒することがすっかり一般的になりました。今やオフィスや商業施設などの入り口には、必ずと言っていいほど消毒液が設置されていますし、消毒液を持ち歩く人も少なくありません。しかし、ウイルスのなかには、アルコール消毒の効果が期待できないタイプもあることをご存じですか? これは「エンベロープ」という、脂質でできた二重の膜の有無がポイントになります。

■エンベロープウイルス

ウイルスの遺伝子が「エンベロープ」に覆われているタイプ。アルコールによってエンベロープが破壊され、ウイルスを容易に不活化できる。

例)コロナウイルス、インフルエンザウイルスなど

■ノンエンベロープウイルス

「エンベロープ」をもたず、遺伝子がむき出しになっているタイプ。アルコールで消毒を行っても、効果は期待できない。

例)ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなど

 インフルエンザウイルスはコロナウイルス同様、エンベロープウイルスなので、アルコール消毒が有効です。オフィスやお店に入る前など、積極的に活用しましょう。

 ちなみに、アルコールが効かないノンエンベロープウイルスには、塩素系漂白剤に含まれている「次亜塩素酸ナトリウム」が有効で、ノロウイルス感染者の嘔吐物の処理や感染者が触れた物(ドアノブなど)の消毒などに使われます。次亜塩素酸ナトリウムは非常に強力で、エンベロープ/ノンエンベロープ両方のウイルスをまとめて消毒できますが、刺激が強いため素手で触れることはできず、ゴム手袋等の使用が必須です(もちろん手指の消毒にも使えません)。  なお、次亜塩素酸ナトリウムは、アルコール消毒液の代替品として広く用いられている「次亜塩素酸水」とは別物ですので、間違えないようにご注意ください。