インフルエンザ激減の要因の一つ? ウイルス干渉って何?

 厚生労働省は1月21日、2022年第2週(1月10日~1月16日)のインフルエンザの発生状況を発表しました。この1週間で報告された患者数は、京都府の9人、千葉県と大阪府の5人、東京都の4人など、全国で合計54人でした。昨年の同時期(65人)よりもさらに少なく、非常に低い水準が続いています。

 新型コロナウイルスの感染者数が、連日のように過去最多を更新する一方、インフルエンザは激減しています。この理由としてよく挙げられるのは、新型コロナウイルス感染症に伴いマスクの着用や手洗いをはじめとした感染予防が徹底されていること、宴会や集会などが自粛されて人との交流が減っていること、海外との往来が激減してインフルエンザウイルスを持ち込む人が少なくなっていることなどですが、これらのほかにウイルスの「干渉」の可能性を指摘する専門家もいます。

 ウイルスの干渉とは、あるウイルスに感染すると、それ以外のウイルスの感染・増殖が抑制される現象です。感染したウイルスと、それ以外のウイルス双方の増殖が抑制されるケースも知られています。

 例えば、例年RSウイルスの流行が収束してからインフルエンザの流行がスタートし、両者が同時に流行しないのは、この干渉が原因ではないかと考えられています。

 一方、干渉のメカニズムなど、詳しいことはまだわかっていません。また昨シーズン中、インフルエンザ同様に患者数が激減したRSウイルス感染症が去年の夏には流行し、多くの感染者が報告されましたが、このケースでは新型コロナウイルスのデルタ株の世界的な広がりと、時期的に重なっています。  

 これらのことを鑑みても、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時流行が、今後も起こらないとは断定できません。私たちとしては、手洗いを励行する、マスクを正しく着用する、せきエチケットを守る、不要不急の外出を控える、ソーシャルディスタンスを確保するといった基本的な感染症対策を徹底し、栄養バランスのよい食事や十分な睡眠など、体の抵抗力を落とさない生活を、引き続き心がけることが大切といえるでしょう。